お寺こぼれ話

どっとこむ僧が語る!あなたの知らないお寺の世界

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近所に住む若い檀家さん。母親は30代後半。彼女がある日、寺を訪ねた。
「すみません・・。葬儀を行っていただくことは可能でしょうか?」
小さなこどもを連れた彼女の話を聞くと、働き盛りの旦那が昨日亡くなったと言う。
さらに聞くとこどもが4人おり、おなかにも赤ちゃんがいるとのこと。
住職が葬儀は可能な旨を告げると、「こんなことを聞いていいのかどうか・・・。 すみません、お布施はおいくら包めば宜しいのでしょうか?」
住職は、一応他の檀家さんに目安として頂いている戒名料とお布施を伝え、その後葬儀の段取りを説明し、 話が済むと彼女は深々と頭を下げ、帰って行った。

葬儀が済んで後日、4人のこどもを連れ、彼女は住職のもとへ。
「本当にありがとうございました。」涙を拭いながら差し出したお布施・・・。
住職は、受け取ったその場で包みを広げると、「多い。半分持って帰れ。」
っくりする彼女に告げる。
「あんたの子供たちが成長して、働き始めたらその時また持って来い。」

後日、住職に真相を尋ねると・・。
「多いのは、持ってすぐにわかった。今は金があっても子供らが大きくなるまで何があるかわからない。 覚えてりゃ20年後に倍にして払ってくれるだろ。ははは。」
と笑っていた。

う~ん。ワシだったら……。

合掌

By どっとこむ僧どっとこむ僧